大人も絵本が読みたい

自分が自分のために読んだ絵本を紹介します。

米国の最も優れた子ども向け絵本に贈られる「コールデコット賞」受賞作品をすべて紹介

 過去に絵本ブログを運営していたことがあります。そのときに、書籍には様々な文学賞(詳細はWikipediaの「文学賞の一覧」を参照)があるのだから、絵本にもきっとあるのだろう...と思い、調べたことがあります。

 絵本のための賞ですが、いまなお読み継がれている素晴らしい絵本がたくさんあります。また、絵本のトレンドもなんとなく過去の受賞作一覧から振り返ることができるます。ノロノロペースにはなりますが、これから数回に渡って「絵本のための文学賞」を紹介していきたいと思います。

 ということで、まずは米国のコールデコット賞から。以下、Wikipediaコールデコッット賞」よりの引用です。

 

コールデコット賞コールデコットしょう、英: Caldecott Medal)は、アメリカ図書館協会の下部組織である児童図書館協会(英語版)(ALSC)が、アメリカ合衆国でその年に出版された最も優れた子ども向け絵本に毎年授与している賞(メダル)である。19世紀イギリスのイラストレーター、ランドルフコールデコットを記念して名付けられた。ニューベリー賞と並んで、アメリカで最も権威のある児童書の賞である。

コールデコット賞 - Wikipedia

 

 そして、これがコールデコット賞のメダルのデザインの元ネタになった、ランドルフコールデコットが『ジョン・ギルピン(英語版)の愉快なお話』のために描いた、ギルピンが暴走する馬に跨がっているイラストレーション。

 

近代絵本の父コールデコット絵本名作集 (京都書院アーツコレクション)
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 では、1938年(1回目)からの受賞作を一気に振り返っていきます。

 

 

米国コールデコット賞受賞作一覧(年代順)

1930〜1940年代の受賞作一覧

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表紙 詳細
Animals of the Bible

1938年(第1回)


Animals of the Bible
 Dorothy P. Lathrop

MEI LI

1939年(第2回)


ei Li
『メイリイとおまつり』
 Thomas Handforth

Abraham Lincoln (Dell Picture Yearling Special)

1940年(第3回)


Abraham Lincoln
『エブラハム・リンカーン
 Ingri and Edgar Parin d'Aulaire

They Were Strong and Good

1941年(第4回)


They Were Strong and Good
 Robert Lawson

かもさんおとおり (世界傑作絵本シリーズ)

1942年(第5回)


Make Way for Ducklings
『かもさん おとおり』
 ロバート・マックロスキー

ちいさいおうち

1943年(第6回)


Little House
『ちいさいおうち』
 バージニア・リー・バートン

物語 たくさんのお月さま (児童書)

1944年(第7回)


Many Moons
『たくさんのお月さま』
 Louis Slobodkin

おやすみかみさま

1945年(第8回)


Prayer for a Child
『おやすみかみさま』
 Elizabeth Orton Jones

The Rooster Crows: A Book of American Rhymes and Jingles

1946年(第9回)


The Rooster Crows
 Maude and Miska Petersham

ちいさな島

1947年(第10回)


The Little Island
『ちいさな島』
 Leonard Weisgard

しろいゆき あかるいゆき

1948年(第11回)


Bright Snow, White Snow
『しろいゆき あかるいゆき』
 Roger Duvoisin

The Big Snow

1949年(第12回)


The Big Snow
 Berta and Elmer Hader

1930年末〜1940年代(第1回から第12回目まで)紹介しました。いまも読み継がれている絵本が多数あります。特に「ちいさいおうち」は読んだだけでは飽き足らず、作品のできた背景まで調べたこともありました。定期的に読み直したくなる1冊です。

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1950年代の受賞作一覧

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表紙 詳細
ツバメの歌 (岩波の子どもの本)

1950年(第13回)


Song of the Swallows
『ツバメの歌』
 Leo Politi

イースターのたまごの木 (児童書)

1951年(第14回)


The Egg Tree
イースターのたまごの木』
 Katherine Milhous

みつけたものとさわったもの

1952年(第15回)


Finders Keepers
『ナップとウィンクル』
『みつけたものとさわったもの』
 Nicholas Mordvinoff

おおきくなりすぎたくま

1953年(第16回)


The Biggest Bear
『おおきくなりすぎたくま』
 リンド・ウォード

マドレーヌといぬ (世界傑作絵本シリーズ)

1954年(第17回)


Madeline's Rescue
『マドレーヌといぬ』
 ルドウィッヒ・ベーメルマンス

シンデレラ―ちいさいガラスのくつのはなし (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

1955年(第18回)


Cinderella, or the Little Glass Slipper
『シンデレラ』
 マーシャ・ブラウン

かえるだんなのけっこんしき

1956年(第19回)


Frog Went A-Courting
『かえるだんなのけっこんしき』
 Feodor Rojankovsky

木はいいなあ

1957年(第20回)


A Tree is Nice
『木はいいなあ』
 Marc Simont

すばらしいとき (世界傑作絵本シリーズ)

1958年(第21回)


Time of Wonder
『すばらしいとき』
 ロバート・マックロスキー

チャンティクリアときつね

1959年(第22回)


Chanticleer and the Fox
『チャンティクリアときつね』
 バーバラ・クーニー

1950年代(第13回から第22回目まで)紹介しました。最近「みたものさわったもの」を読みました。ベタな展開でしたが、「あーあ」と思いながらも楽しめました。いつも時代も楽しいものは変わりません。

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1960年代の受賞作一覧

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表紙 詳細
クリスマスまであと九日―セシのポサダの日

1960年(第23回)


Nine Days to Christmas
『クリスマスまであと九日』
 Marie Hall Ets
 Aurora Labastida

Baboushka and the Three Kings

1961年(第24回)


Baboushka and the Three Kings
 Nicolas Sidjakov

あるひねずみが…―インドのむかしがたり

1962年(第25回)


Once a Mouse
『あるひねずみが……』
『むかし、ねずみが』
 マーシャ・ブラウン

ゆきのひ―キーツの絵本 (新訳えほん)

1963年(第26回)


The Snowy Day
『ゆきのひ』
 Ezra Jack Keats

かいじゅうたちのいるところ

1964年(第27回)


Where the Wild Things Are
『いるいるおばけがすんでいる』
かいじゅうたちのいるところ
 モーリス・センダック

ともだちつれてよろしいですか

1965年(第28回)


May I Bring a Friend?
『ともだちつれてよろしいですか』
 ベニ・モントレゾール

Always Room for One More (Owlet Book)

1966年(第29回)


Always Room for One More
 ノニー・ホグローギアン

へんてこりんなサムとねこ (1981年) (アメリカ創作絵本シリーズ)

1967年(第30回)


Sam, Bangs & Moonshine
『へんてこりんなサムとねこ』
 Evaline Ness

Drummer Hoff

1968年(第31回)


Drummer Hoff
 d Emberley

空とぶ船と世界一のばか: ロシアのむかしばなし (大型絵本)

1969年(第32回)


The Fool of the World and the Flying Ship
『空とぶ船と世界一のばか』
 Uri Shulevitz

 

1960年代(第23回から第32回目まで)紹介しました。「かいじゅうたちのいるところ」は特に有名ですね。強面のかいじゅうたち、本当は可愛くて楽しくて。ギャップ萌えでした。

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1970年代の受賞作一覧

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表紙 詳細
ロバのシルベスターとまほうのこいし (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

1970年(第33回)


Sylvester and the Magic Pebble
『ロバのシルベスターとまほうのこいし』
 ウィリアム・スタイグ

おはなしおはなし―アフリカ民話より

1971年(第34回)


A Story A Story
『おはなし おはなし』
 ゲイル・E・ヘイリー

きょうはよいてんき

1972年(第35回)


One Fine Day
『きょうはよいてんき』
 ノニー・ホグローギアン

The Funny Little Woman (Picture Puffins)

1973年(第36回)


The Funny Little Woman
 Blair Lent

ダフィと小鬼―イギリス・コーンウォール地方の民話 (1977年)

1974年(第37回)


Duffy and Devil
『ダフィと小鬼』
 Margot Zemach

太陽へとぶ矢―インディアンにつたわるおはなし

1975年(第38回)


Arrow to the Sun
『太陽へとぶ矢』
 ジェラルド・マクダーモット

どうしてカは耳のそばでぶんぶんいうの?―西アフリカの民話より

1976年(第39回)


Why Mosquitoes Buzz in People's Ears
『どうしてカはみみのそばでぶんぶんいうの』
 レオとダイアナ・ディロン

絵本アフリカの人びと―26部族のくらし

1977年(第40回)


Ashanti to Zulu : African Traditions
『絵本アフリカの人びと』
 レオとダイアナ・ディロン

ノアのはこ船 (児童図書館・絵本の部屋)

1978年(第41回)


Noah's Ark
ノアの箱舟
 ピーター・スピア

野うまになったむすめ

1979年(第42回)


The Girl Who Loved Wild Horses
『野うまになったむすめ』
 Paul Goble

1970年代(第33回から第42回目まで)紹介しました。「ロバのシルベスターとまほうの小石」は長いお話ですが、最後はどうなるのかドキドキしながら読みました。「きょうはよいてんき」は、日本のわらしべ長者のような展開。でも、キッカケがなんともシュールで面白かったです。

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1980年代の受賞作一覧

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表紙 詳細
にぐるまひいて

1980年(第43回)


Ox-Cart Man
『にぐるまひいて』
 バーバラ・クーニー

ローベルおじさんのどうぶつものがたり

1981年(第44回)


Fables
『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』
 アーノルド・ローベル

ジュマンジ

1982年(第45回)


Jumanji
ジュマンジ
 クリス・ヴァン・オールズバーグ

影ぼっこ

1983年(第46回)


Shadow
『影ぼっこ』
 マーシャ・ブラウン

栄光への大飛行

1984年(第47回)


The Glorious Flight: Across the Channel with Louis Bleriot
『パパの大飛行』
『栄光への大飛行』
 Alice and Martin Provensen

Saint George and the Dragon

1985年(第48回)


Saint George and the Dragon
 Trina Schart Hyman

急行「北極号」

1986年(第49回)


The Polar Express
『急行「北極号」』
 クリス・ヴァン・オールズバーグ

Hey, Al

1987年(第50回)


Hey, Al
 Richard Egielski

月夜のみみずく

1988年(第51回)


Owl Moon
『月夜のみみずく』
 John Schoenherr

Song and Dance Man: (Caldecott Medal Winner) (Dragonfly Books)

1989年(第52回)


Song and Dance Man
 Stephen Gammell

1980年代(第43回から第52回目まで)紹介しました。この辺は読んでいない作品が多いです。日本はバブル時代ですが、このころは海外の作品が頻繁に翻訳されていたとき。集中して読みたいです。

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1990年代の受賞作一覧

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表紙 詳細
ロンポポ―オオカミと三にんのむすめ

1990年(第53回)


Lon Po Po
『ロンポポ』
 Ed Young

Black and White

1991年(第54回)


Black and White
 デビッド・マコーレイ

かようびのよる

1992年(第55回)


Tuesday
『かようびのよる』
 デヴィッド・ウィーズナー

つなのうえのミレット

1993年(第56回)


Mirette on the High Wire
『つなのうえのミレット』
 Emily Arnold McCully

おじいさんの旅

1994年(第57回)


Grandfather's Journey
『おじいさんの旅』
 アレン・セイ

スモーキーナイト―ジャスミンはけむりのなかで (海外秀作絵本)

1995年(第58回)


Smoky Night
『スモーキーナイト』
 David Diaz

バックルさんとめいけんグロリア

1996年(第59回)


Officer Buckle and Gloria
『バックルさんとめいけんグロリア』
 Peggy Rathmann

Golem (CALDECOTT MEDAL BOOK)

1997年(第60回)


Golem
『土でできた大男ゴーレム』
 David Wisniewski

Rapunzel (Picture Puffin Books)

1998年(第61回)


Rapunzel
 Paul O. Zelinsky

雪の写真家ベントレー

1999年(第62回)


Snowflake Bentley
『雪の写真家ベントレー
 Mary Azarian

1990年代(第53回から第62回目まで)紹介しました。同じく、あまり絵本を読んでいない時代です。美しい挿絵の絵本が多い印象ですね。

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2000年代の受賞作一覧

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表紙 詳細
ヨセフのだいじなコート (ほんやくえほん)

2000年(第63回)


Joseph Had a Little Overcoat
『ヨセフのだいじなコート』
 Simms Taback

So You Want to be President?

2001年(第64回)


So You Want to be President?
 David Small

3びきのぶたたち

2002年(第65回)


The Three Pigs
『3びきのぶたたち』
 デヴィッド・ウィーズナー

はなうたウサギさん

2003年(第66回)


My Friend Rabbit
『はなうたウサギさん』
 Eric Rohmann

綱渡りの男 (FOR YOU 絵本コレクション「Y.A.」)

2004年(第67回)


The Man Who Walked Between The Towers
『綱渡りの男』
 Mordicai Gerstein

まんまるおつきさまをおいかけて (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

2005年(第68回)


Kitten's First Full Moon
『まんまるおつきさまをおいかけて』
 ケヴィン・ヘンクス

こんにちは さようならのまど

2006年(第69回)


The Hello, Goodbye Window
『こんにちは・さようならのまど』
 Chris Raschka

漂流物

2007年(第70回)


Flotsam
『漂流物』
 デヴィッド・ウィーズナー

ユゴーの不思議な発明

2008年(第71回)


The Invention of Hugo Cabret
ユゴーの不思議な発明』
 Braian Selznick

よるのいえ (大型絵本)

2009年(第72回)


The House in the Night
『よるのいえ』
 Beth Krommes

2000年代(第63回から第72回目まで)紹介しました。2000年に入り、絵本のトレンドもなんとなく変化してきたように感じます。

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2010年代の受賞作一覧

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表紙 詳細
イソップものがたり ライオンとねずみ

2010年(第73回)


The Lion and The Mouse
『ライオンとネズミ』
 Jerry Pinkney

エイモスさんがかぜをひくと

2011年(第74回)


A Sick Day for Amos McGee
『エイモスさんがかぜを ひくと』
 Erin E. Stead

A Ball for Daisy: (Caldecott Medal Winner) (Caldecott Medal - Winner Title(s))

2012年(第75回)


A Ball for Daisy
 Chris Raschka

ちがうねん

2013年(第76回)


This Is Not My Hat
『ちがうねん』
 ジョン・クラッセン

走れ! !  機関車

2014年(第77回)


Locomotive
『走れ! ! 機関車』
 Brian Floca

The Adventures of Beekle: The Unimaginary Friend

2015年(第78回)


The Adventures of Beekle: The Unimaginary Friend
 Dan Santat

プーさんと であった日: 世界で いちばん ゆうめいな クマの ほんとうに あった お話 (児童図書館・絵本の部屋)

2016年(第79回)


Finding Winnie: The True Story of the World's Most Famous Bear
『プーさんとであった日』
 Sophie Blackall

Radiant Child: The Story of Young Artist Jean-Michel Basquiat (Americas Award for Children's and Young Adult Literature. Commended)

2017年(第80回)


Radiant Child: The Story of Young Artist
Jean-Michel Basquiat
 Javaka Steptoe

Wolf in the Snow

2018年(第81回)


Wolf in the Snow
 Matthew Cordell

おーい、こちら灯台 (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

2019年(第82回)


Hello Lighthouse
『おーい、こちら灯台
 Sophie Blackall

2010年代の受賞作一覧2010年代(第73回から第82回目まで)紹介しました。受賞する絵本のバリエーションが広がったように思います。この頃から「大人向け絵本」とする、大人をターゲットにした絵本が注目され始めました。

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2020年代の受賞作一覧

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表紙 詳細

2020年(第83回)


The Undefeated
 Kadir Nelson

We Are Water Protectors

2021年(第84回)


We Are Water Protectors
 Michaela Goade

  2022年(第85回)
  2023年(第86回)
  2024年(第87回)
  2025年(第88回)
  2026年(第89回)
  2027年(第90回)
  2028年(第91回)
  2029年(第92回)

2020年代(第73回から第82回目まで)紹介中です。ここは今後追加していくつもりです。

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最後に

 絵本といってもなかなか奥が深く、そのときの時代、風俗、価値観を表現しているものも多数あります。受賞作品という冠は、あくまでも新たな絵本に出会うキッカケに過ぎませんが、「なぜその作品が選ばれたのだろう?」という疑問を突き詰めていくと、何か興味深いものがわかるような気がしています。

 海外、国内たくさんの絵本賞があります。少しずつ紹介していければと思います。なお、今後紹介した絵本があれば、記事へのリンクも追加していく予定です。